2016.07.03

税金各種

 個人が資産を譲渡して利益が出た場合には、その利益を譲渡所得として所得税・住民税がかかります。住宅などの不動産を譲渡して得た所得の場合には、給与所得や事業所得などの他の所得とは別に、所定の税率によって課税されます。これが譲渡税です。
だからといって、引っ越すたびに、多額の税金を納めなければならなければ、大変なことですので、居住用財産には、3000万円控除できるという制度があります。自宅のような居住用財産の場合、譲渡益から3000万円を差し引いた金額に対して課税が行われます。譲渡益が3000万円以下であれば、税金がかからないことになります。なお、この特例は所有期間5年以下であっても適用できます。

 5年間と5年から10年と10年超えと、所有していた長さによって税率が変わるのが特徴です。短期所有の場合は、不動産の単なる値上がり益を狙っての売買の可能性もあり、政策的に好ましくない不動産売買の動きなので税率が高くなっています。本当に住宅やオフィスが必要でという実需に優先した税率になっています。


 さらに、本当にその不動産を必要としている購入者に対して優遇されている制度があります。例えば、買換えの場合は譲渡税の「繰り延べ」あります。買ったときより値上がりしている不動産を売った場合、譲渡税がかかるので、売却代金のすべてを充当して新たな不動産を取得することはできないことになります。しかしそれでは、新たに取得する物件は「これまでより価格が低いもの」とならざるを得ません。それは不合理なので、一定の要件を満たせば、買換えの場合の譲渡税を抑える特例があります。特例の中身を簡単に言えば、「売却代金のうち、買換えに充てた割合に応じて譲渡所得を低くする制度」です。
例えば、300円で買ったものを1000円で売り、900円のものに買い換えた場合は、譲渡益700円の「90%」(900÷1000)が課税所得から控除されます。買い換えた資産が1000円以上であれば、譲渡所得の全額が控除されることになります(税額はゼロ)。

 もっというと、居住用の買換えの場合は全額繰り延べできるようになっています。「買換え特例」には、「居住用財産の買換え特例」と「事業用財産の買換え特例」の2種類があります。「居住用財産の買換え特例」は、自宅を売って、別の場所で自宅を買い換えた場合などに適用されます。この場合、買い換えた資産の価格が売却収入を上回っていれば税額はゼロになります。「事業用資産の買換え特例」は、店舗を売って引っ越した場合などに適用されます。「居住用財産の買換え特例」に比べ、やや厳しくなります。

 まず、「譲渡益のうち、控除される割合」を計算する際、買換え資産の購入価格を8掛けして計算します。300円で買ったものを1000円で売り、900円のものに買い換えた場合は、控除されるのは譲渡益700円の「72%」(900×0.8÷1000)となります。また、買い換えた資産が1000円以上であっても1000円として計算します。したがって、「事業用資産の買い替え特例では、税額が「ゼロ」ということはありえません。

 ただし、注意が必要なのは、次回売却時の譲渡税が増えるということです。買換え特例を使った場合、「取得費」は、「旧財産を引き継ぐ」ことになります。300円で買ったものを1000円で売り、それを900円で買い換え、その資産を後に800円で売った場合を考えてみます。普通は「900円で買ったものを800円で売ったのだから税金はかからない」と考えられますが、買換え資産は旧財産の取得費300円を引き継ぎますので、「300円で買ったものを800円で売った」ことになり、譲渡税がかかってしまうのです。
結局のところ、買換え特例は「今回の売却による譲渡税を少なくし、次回の売却時に回す」という意味合いのものと言えます。これは、政策により、担保として利用されている不動産価格をこれ以上下げないための施策であるように思えます。とりあえず、先送りということで、譲渡税の「減免」ではなく「繰り延べ」という表記がされるのはこのためです。

記事提供元:TRUSTAX編集部

この記事へのボイス

住宅関連税制には多くの特例が存在しており、税理士でもすべて把握するのは結構大変です。
うっかり適用できる特例を適用しなかったら、損害賠償請求されますから注意が必要ですね。
細かい適用要件はさておき、どんな特例があるかぐらいはちゃんと把握しておきましょうね。



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2016/07/04

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