2016.04.26

資金調達・融資

資金調達には、金融機関から借り入れてくるもの、投資家から出資してもらうもの、補助金などを受け取るものが挙げられます。その時に、関係する税金について、減価償却費と圧縮記帳について考えてみたい。

まず、減価償却費について考えてみたいと思います。キャッシュフローというのは、毎年、あるいは毎月ポケットに入ってくる手取りの収入から、ポケットから出て行くすべての支出を差し引いたものということです。借入金の元金返済分にしても、利息返済分にしても、どちらも手元から出て行くものですから、合計返済額が一定の元利均等返済では、その他の条件が変わらなければキャッシュフローの額は変動しません。一方、合計返済額が時間経過と共に減少する元金均等返済では、支出額が減るために毎年キャッシュフローは増加することになります。しかし、経費として参入できない元金返済部分は、元利均等返済では毎年増えることになり、結果として「申告所得」は増加します。つまり、税金支払いが増えるという事です。定額法にしても定率法にしても、耐用年数を過ぎれば減価償却費は計上できなくなります。つまり、新たに減価償却資産を購入するか、資本的支出(資産の使用可能期間を延長させたり、資産の価額を増加させたりする部分の支出のこと)を増加させない限り、減価償却費は毎年低下していきます。

つまりは、元金の返済部分は時間経過と共に横ばいか、上昇する傾向にあり、他方減価償却費は何もしない限り時間経過と共に横ばいか、低下する運命にあるということです。そのため、毎年税金負担が重くなっていくという事実があります。借入金の返済方式や減価償却資産の償却方法について、理解を深めることで資金調達の効果をさらに高めたいものです。

次に、補助金等を受け取った場合に、気を付けるべき税金について考えてみたいと思います。国庫補助金、保険差益等、収用等に伴い買換えをした場合などについては、法人税法上、原則として課税することになっています。しかし、これらのものは、国などからの政策的な補助金であったり、火災という突発的な事故や強制的に国や地方公共団体に買収されたことなどによるものです。これらに課税がなされれば、目的とする資産の取得や以前から使用していた資産と同等な資産を取得することが困難となります。そこで法人税法では、一定の要件を満たすものについては、圧縮記帳という制度を設けて課税の繰延を認め補助金などの効果を高める仕組みがつくられています。

圧縮記帳とは、会社に生じた特定の収入に係わる課税を繰り延べる手段として用いられる税法の独特な考え方です。法人税法上で計上される「圧縮損」は、損金に算入されますが、企業会計上では費用性は認められません。また、取得価額が圧縮されることについても、損益計算書から切り離して、剰余金の処分で積立金を設定するのが一般的であると考えられています。

一例を挙げれば、会社の帳簿価額2,000千円の土地を国に30,000千円で売却し、その売却代金で新たな土地を購入したとすれば、次のような仕訳になります。

この場合の固定資産売却益の課税を繰延する圧縮記帳には、2通りの方法があります。


(1)積立金方式
剰余金の処分で積立金を設定し、法人税法での申告調整にて減算する方法
  (借方)繰延利益剰余金28,000千円  (貸方)圧縮記帳積立金28,000千円

(2)直接減額方式
   損金経理にて損益計算書の特別損失の部に計上する方法
(借方)土地圧縮損28,000千円  (貸方)土地28,000千円


圧縮記帳による課税の繰延は、法人税などの課税を免除するのでなく、買換によって取得した土地等を売却した時に課税をするものです。また、買換により取得した資産が建物などの減価償却資産であれば、圧縮記帳した部分については減価償却費が計上することが出来なくなり、減価償却期間を通して法人税などを支払うことになります。

資金調達の後の税金に理解を深めることで、より生きた資金調達の結果が得られるものと思います。

記事提供元:TRUSTAX編集部

この記事へのボイス

圧縮記帳は課税の繰延です。将来的には圧縮記帳した年度の損金計上分が減価償却費のマイナスという形で取り戻されます。
ですが圧縮記帳をすることにより高い税率での課税(800万円超の所得)を回避できる場合があります。また、キャッシュフローと言う意味でも補助金等を受け取った年度に重い課税があるのは避けたいものであり、ぜひ活用したいところです。
なお損失補填や収益補填のための補助金等は圧縮記帳の対象になりませんのでご注意ください。

たかがき会計事務所

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2016/04/27

借入による資金調達そのものには税金の発生も節税もほとんどありません(支払利子は経費になりますが)。補助金は受け取った補助金の内容によって課税されます。記事にある様に、資金調達の目的が設備投資であれば、減価償却を通じて、節税とキャッシュフロー対策にもなります。投資設備が特別償却の対象になればさらに効果が出ましょう。補助金も国庫補助金など、設備投資のための補助金ならば圧縮記帳も可能です。
資金調達の目的によって借入が節税に繋がることも有り、補助金も貰えば課税される補助金もある、ということを覚えておくことは重要ですね。

公認会計士酒井健一事務所

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2016/04/27

資金調達をするということは、その資金を使って何かしらの案件に投資をするということですから、その投資案件の収益性を計るために必ずシミュレーション(将来CFを引く)をするはずです。その過程で当然taxの影響を考慮しないと適切な収益性は出せません。taxは当然投資の利回りに直結すので(課税の繰延は大きなアドバンテージになります)、曖昧な点があれば事前に専門家に確認すべきです。

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2016/04/30

会社にお金が入ってきた場合その取引は原則として税金の対象となります。補助金も例外ではありません。借入行為は税金の対象になりませんが借入元本の返済も費用にはなりません。
ただし、補助金はその名のとおり補助という一定の目的をもって行われるものですからその目的によっては課税の繰延(免除ではありません)ができるようになっています。それが圧縮記帳と呼ばれるものです。
圧縮記帳とは設備の取得のための補助金額を固定資産の取得価額から控除することにより、補助金受取時にその全額に課税するのではなく毎期計上する減価償却費を減少させることで設備の耐用年数全期にわたって少しづつ課税する方法のことです。
補助金は返還義務はありませんが将来にわたる税負担を考慮して資金計画を組む必要があります。

藤原公認会計士事務所

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2016/05/02

税金についても事前に考えておくことは重要です。特に個人事業主や中小事業など所得により税率が変わる場合には、事前に税金を考慮することによる効果は大きくなります。
投資した後需要が伸びていく業界(新規設立もこちらだと思います)の場合は、減価償却は定額法を選択することが望ましいといえます。一方、投資の直後の方が利益率が高く時間がたつと利益率が落ちてしまう業界では定率法を選択することが望ましいといえます。
どちらにしても、事業計画をしっかりと作成し、税金について検討しておくことが重要です。

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2016/05/04

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TRUSTAX編集部 2016.03.30