2016.04.28

資金調達・融資

ヘアサロンの設備更新で資金調達を受けることができなかった事例を紹介します。Mさんは、 開業から10年続けているヘアサロンを経営しています。設備の老朽化や陳腐化のために買い替えを検討しました。しかし、ヘアサロンの設備・機材は安いものではなく、現金で買う余裕がなかったので、銀行からの借入を検討しました。開業からまだ10年ということで、開業当時の借入はまだ残っていましたが、実務上どうしても必要になる設備だったので、なんとか資金調達をしたいと考えていました。経営しているヘアサロンは赤字ではありませんでしたが、何とか黒字を出している程度で、決して経営は楽ではない状態でした。「都市銀行は貸してくれない」と仲間から聞いたことがあったのでMさんは、地方銀行に融資を申し込みました。 ところが、1つめの地方銀行にはすぐに断られてしまいました。 2つめの地方銀行は「少し検討します」と言われ返事を待ったようですが、結局この銀行からも融資がおりませんでした。3つめの地方銀行もダメ。そして信用金庫も貸してはくれませんでした。ダメもとで都市銀行にも行ったようですが、やはりこちらも断られてしまいました。結局、ヘアサロンはどこからも融資を受けることができませんでした。

失敗の理由は、いろいろあります。先ず、ヘアサロンへの融資は、銀行は好みません。なぜなら第一に、ヘアサロンの数はコンビニよりも多く、また、他のヘアサロンとの差別化も難しく、何より単価の安い商売なので、どうしても儲からないことが多いからです。また、ヘアサロンは新規開業も多いですが、潰れていくヘアサロンも相当数あります。そのため銀行からは好ましくない融資先に分類されてしまう傾向にあります。他の業種と同じ条件で融資に至るにはお店の評判が良くネームブランドが必要な場合が多いです。

また、ヘアサロンは個人事業のことが多く、そもそも融資を受けづらい原因を抱えています。やはり、個人よりは法人の方が融資は受けやすいです。なぜなら、法人の方が社会的にも信用があるからです。ちなみに、白色申告をしていると相当融資は受けづらいです。青色申告をしていることも信用の証です。それは、複雑で難しい青色申告は「いい加減な経営をしていない」「丼勘定で商売をしていない」という証拠だからです。

ちなみに、Mさんの経営するヘアサロンは青色申告をしていましたが、その内容が場当たり的な戦略の下に作成されたものであったのも失敗の原因でした。例えば、設備の老朽化や陳腐化は、予測可能な業種なので、減価償却などで流動化した手許資産として蓄積すべきところを、判らずに他に転用していたなど、丼勘定に近い状態でした。

また、現在はヘアサロンよりは理容室の方が融資を受けやすい環境にあるように思います。「安床(やすとこ)」というものが流行っていますが、かなり利益を出すところも多いです。首都圏の駅の中には安床が入っていることが多いですね。駅の中のトイレに近い部分は家賃が安いのですが、そこを狙って出店する理容室フランチャイズがいくつかありますが、相当な利益を出しています。カットだけで1000円という安さを売りにしていますが、髪の短い男性は頻繁に理容室に行きますので、それも大きい売上をあげる原因になっているそうです。失敗の原因は、そもそも、ヘアサロンをするという出発点にハンディがあることを自覚できていなかったことにあります。自覚できていれば、融資を受けて開業ができる基盤があるのですから、また、赤字にならない程度には経営ができるだけの実力はあるのですから、なんらかの対策はできたはずです。失敗をしやすい業態の中で、安定しているということもひとつの強みになると思います。近視眼的な対応でなく、遠くを見ての対策にも注意を払いたいものです。

記事提供元:TRUSTAX編集部

この記事へのボイス

ヘアサロンだから融資が受けにくいとは考えにくいです。どんぶり勘定だからというのはあると思います。金融機関は慈善事業ではありません。
金融機関は、貸して返すだけの体力があるか、無理な経営をしていないか等を、決算書一枚で把握しなければなりません。

特に、売上や粗利益、キャッシュフローなどを勘案して貸付を行っているのか現状です。
特にキャッシュフローが返済の要ですので、それが安定している企業には十分に貸し付けてくれる可能性があります。

松本唯明税理士事務所

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2016/04/30

現状であれば、公庫が出してくれるのでは!?それと、地元の信金さんも取り組んでくれると思いますが・・・

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2016/04/30

融資を受けられないということはヘアサロンだからということではなく、事業計画がしっかりしていないことが原因なのではないでしょうか。これはヘアサロンに限らずどの業種でもいえることですが、事業の現状をしっかり把握し事業計画を説得力を持って策定・説明できるかどうかが融資を受けられるかどうかの大きな違いになると考えます。ただし、事業計画を自分一人だけで策定しようとすると説得力を持ったものにならない場合も考えられます。事業計画に精通した専門家のアドバイスを受けながら策定するのがベターだと思います。

藤原公認会計士事務所

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2016/05/02

お金を借りようとする場合、貸す側としては、将来きちんと返してくれるのかどうかについて当然気になりますよね。金融機関も全く同じです。将来きちんと返せることを、経営者自らが説明できるようにしなければ、貸そうとは思ってくれないのではないでしょうか。そのためにはやはりきちんとした事業計画を作成することが求められます。その前提として、きっちり帳簿をつけて信頼性のある数字の裏付けがないと説得力が薄れます。青色申告事業者であるというのは、そういう条件の最低限だと考えて頂きたいと思います。

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2016/05/04

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藤原公認会計士事務所

TRUSTAX編集部 2016.03.30